書とともに年を重ねる(2025年6月号)

書作品の落款で「八十八叟○○書」(○○は書いた人の名前)などと書かれているものを見たことがありませんか。「叟」の字は「老人」もしくは「翁」を意味する漢字です。ですからこれは「八十八歳の老人である○○が書いた作品です」という意味です。年齢を作品に書くことはよくありますが、青年や壮年世代の場合、このように年齢を記すことはほとんどありません。八十八歳にして、このような力強い文字が書けるといった、年齢が…

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日常の筆書きに宿る日本の力(2025年5月号)

先日、ある政治家が式典で来賓としてお話しをする場面をテレビで見ました。胸には下に白い布と赤いリボンのある造花をつけていました。これは胸花リボンと呼ばれ、下の白い布の部分は所属や肩書き、名前などを書き入れるところです。ところがその映像を見るに、白い布には名前など書いておらず真白のままでした。また別の日、テレビのドラマを見ていたら、作中の人物が胸花リボンをつけているのですが、これもリボンに文字が書か…

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手書きすること、美しく書くということ(2025年4月号)

法華義疏(ほっけぎしょ)は、「法華経(ほけきょう)」の注釈書で、聖徳太子(五七四~六二二)自筆の書であり、現存するわが国最古の肉筆の書として知られます。法華義疏は、随所に加筆、修正の跡があり、清書ではなく、草稿であることが分かっています。聖徳太子は上宮厩戸豊聡耳皇子(かみのみやうまやどのとよさとみみおうじ)と呼ばれ、一度に十人の訴事を聞き、裁決し、誤ることがなかったと伝えられます。日本史を勉強し…

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