「愚」(おろか)という徳、「損」の道の妙 (2006年12月号)

 其れはまだ人々が「愚」と云ふ貴い徳を持つて居て、世の中が今のやうに激しく軋 み合はない時分であった。……これは谷崎潤一郎の小説『刺青』の中の一文です。江 戸時代の、のんびりしたようすを「愚」と賞賛しています。  幸田露伴も「今の人ややもすれば益の道可なるを知って損の道の妙を知らず」と述 べています。幸田露伴は、森鴎外、夏目漱石らと共に明治の三文豪と言われますが、 その中でも最も多くの毛筆原稿…

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文房四宝ともったいない (2006年11月号)

消費文明が行きつくところまで行った感のある昨今です。その中でもったいないという言葉が見直されています。何もかもが使い捨てにされていく現代において、一歩ふみとどまって物を大切にしていこうという社会の気運には私も大賛成です。  「書」の世界にも大切にしなくてはならない「文房四宝」と呼ばれるものがあります。これは筆・墨・硯・紙を指し示しています。もともとは詩文を作るのに欠くことが出来ないものであった…

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受賞を祝して (2006年10月号)

今年も年間表彰の季節になりました。本年度からは従来からの年間最優秀賞や年間努力賞に加え、最優秀作品賞や優秀作品賞も年間表彰の対象となります。  年間最優秀賞は、最優秀作品に多く選ばれるなど活躍の著しかった会員に一度に限り贈られるものです。一部門に一名だけの賞であり、年間表彰の頂点に位置する賞です。  年間努力賞は、「書の稽古を継続して熱心に行い、高い学習成果を上げた者」に贈られる賞です。書の稽…

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